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落語とは?

落語とは?小学生にもわかる世界一やさしい落語入門

「落語って、着物を着た人が座って話すものでしょう?」

はい、そのとおりです。

でも、落語のおもしろさは、それだけではありません。

落語家が座布団の上で話し始めると、何もなかったはずの舞台に、家や店、道や川が見えてきます。

たった一人しかいないのに、親子や夫婦、ご隠居さん、商人、子どもなど、何人もの人物が話しているように感じられます。

落語は、話す人と聞く人が、いっしょに想像の世界を作る芸なのです。

落語とは、どんな芸なの?

落語とは、落語家が一人で何人もの登場人物を演じながら、物語を聞かせる日本の話芸です。

落語家は、舞台の上を走り回ったり、大がかりなセットを使ったりしません。座布団の上に座り、言葉、表情、目線、声の調子、身ぶりを使って物語を見せます。

舞台に本物のそばはなくても、落語家が箸を動かし、ふうふうと息を吹きかければ、熱いそばを食べているように見えてきます。

戸や壁がなくても、手を動かして音を表せば、そこに家があるように感じられます。

つまり落語では、舞台に足りないものを、聞く人の想像力で補います。

簡単に言えば、落語は、

「一人の話し手と、聞く人の想像力で作る物語」

なのです。

日本芸術文化振興会の文化デジタルライブラリーでも、落語は、滑稽な話や人情に訴える話を、一人で座って演じる芸だと説明されています。文化デジタルライブラリー「落語:早わかり」

一人なのに、どうして何人にも見えるの?

落語家は、顔や体を大きく変身させるわけではありません。

人物を演じ分けるときに大切なのが、顔の向きと声です。

右を向いて話したあと、左を向いて返事をすると、そこに二人の人物がいるように見えます。

年配の人なら、ゆっくり落ち着いて話す。せっかちな人なら、少し早口で話す。子どもなら、声や表情を軽くする。

こうした小さな違いを重ねることで、一人の落語家が何人もの人物を演じ分けます。

特別な衣装へ着替えなくても、聞いているうちに「今はお父さん」「今は子ども」と自然に分かってくるのです。

落語家は、どうして座ったままなの?

落語では、演じる人が座布団に座ったまま話すのが基本です。

座っていると動ける範囲は狭くなります。それでも、上半身の動き、顔の向き、目線、声だけで、歩く、食べる、酔う、慌てる、眠るといった様子を表します。

動きが少ないからこそ、落語家のわずかな仕草が大きな意味を持ちます。

話す人が少し上を見れば、背の高い相手を見上げているように感じます。反対に下を向けば、子どもや座っている相手へ話しかけているように見えます。

落語は「動かない芸」ではありません。

小さな動きで、大きな世界を見せる芸なのです。

落語で使う道具は、たった二つ

落語家がよく使う道具は、扇子と手ぬぐいです。

落語の世界では、扇子が箸、筆、刀、キセルなどに変わります。手ぬぐいは、財布、手紙、本、たばこ入れなどに変わります。

もちろん、本当に変身するわけではありません。

落語家の持ち方と動かし方を見て、聞く人が「これは箸だな」「今度は財布だな」と想像するのです。

同じ扇子が、ある場面では箸になり、別の場面では刀になる。これは、子どもが一本の棒を剣や魔法の杖に見立てて遊ぶことにも少し似ています。

落語芸術協会も、扇子と手ぬぐいをさまざまな物に見立てて落語の世界を作ると紹介しています。落語芸術協会の子ども向け解説資料

「オチ」や「サゲ」って何?

落語の最後には、気のきいた一言や、思いがけない言葉が置かれることがあります。

これを「オチ」または「サゲ」と呼びます。

話の最初に出てきた言葉が、最後には別の意味になったり、登場人物の勘違いが最後の一言で分かったりします。

たとえば、ある言葉を文字どおりに受け取った人物が騒動を起こし、最後にその勘違いを利用した一言で終わる、といった形です。

ただし、落語のおもしろさは最後のオチだけではありません。

登場人物の会話、話し方、失敗、強がり、勘違いを楽しむ噺もあります。最後まで聞くうちに、登場人物を好きになってしまうこともあります。

落語芸術協会も、オチにはさまざまな種類があり、大切なのは分類名よりも、その噺がどう着地するかだと説明しています。落語芸術協会「演目紹介」

落語の最初にする話は何?

落語家は、本題へ入る前に、季節、最近の出来事、身近な失敗などを話すことがあります。

この部分を「マクラ」と呼びます。

いきなり物語を始めるのではなく、まず聞く人の気持ちをほぐし、これから始まる噺の世界へ案内する役目があります。

マクラの内容が、その日の演目につながっていることもあります。

「食べ物には、人によって好みがありますね」と話してから食べ物の噺へ入れば、聞く人も自然に物語へついていけます。

マクラは、落語の本題へ頭を乗せるための、文字どおり「枕」のような部分です。

落語は、いつごろ始まったの?

人を笑わせる話そのものは、ずっと昔からありました。

現在の落語につながる職業的な噺家は、17世紀末ごろ、京都、大坂、江戸で活躍し始めたとされています。その後、18世紀末ごろには寄席が生まれ、落語は多くの人が楽しむ芸へ発展しました。文化遺産データベース「古典落語」

江戸時代の町には、今のようなテレビもラジオもありません。

人々は寄席へ足を運び、落語やさまざまな芸を楽しみました。

江戸の文化・文政期には、寄席が大いににぎわい、文政末期には125軒もの寄席があったと伝えられています。文化デジタルライブラリー「江戸落語のにぎわい」

落語はその後も、出版、レコード、ラジオ、テレビ、インターネットなど、新しい伝え方を取り入れながら続いてきました。

古典落語と新作落語の違い

落語は、大きく「古典落語」と「新作落語・創作落語」に分けられます。

古典落語

古くから多くの落語家によって演じ継がれてきた噺です。

『時そば』『目黒のさんま』『まんじゅうこわい』など、広く知られた演目があります。

同じ題名でも、落語家によって話し方、登場人物の見せ方、言葉、間の取り方が違います。

古典落語は、昔の台本を一字一句そのまま読むものではありません。長い年月のなかで、多くの落語家が工夫を重ねながら育ててきた噺です。

新作落語・創作落語

比較的新しい時代に作られた落語です。

現代の会社、学校、スマートフォン、電車、買い物などを題材にすることもできます。

古典落語も、最初に作られたときには新しい噺でした。

そのため、古典と新作のどちらが上ということではありません。どちらも、人間のおかしさや温かさを言葉で描く落語です。

江戸落語と上方落語は何が違うの?

東京を中心に発展した落語は「江戸落語」、大阪や京都を中心に発展した落語は「上方落語」と呼ばれます。

江戸落語は座敷や寄席で演じられる形が発達しました。

上方落語は、屋外で人を集めて演じた歴史があり、見台という小さな机や拍子木などを使うことがあります。

同じような筋の噺でも、土地の言葉、食べ物、店、暮らし方に合わせて内容が変わる場合があります。

京都・大坂・江戸では、江戸時代のほぼ同じ時期に落語の始祖とされる人物が現れたと紹介されています。京都市公式 京都観光Navi「落語入門の入門」

寄席とは、落語だけを見る場所なの?

寄席とは、落語をはじめとするさまざまな芸を楽しめる場所です。

落語のほかに、漫才、奇術、紙切り、曲芸、俗曲などが登場することもあります。

映画のように最初から最後まで一つの長い作品を見るのではなく、いろいろな芸人が順番に登場します。

途中から入場できる寄席もあり、落語に詳しくない人でも楽しめます。

一番最後に登場する中心の落語家を「トリ」と呼びます。トリへ向かって番組全体が組み立てられているところも、寄席のおもしろさです。

落語には、どんな人が登場するの?

落語には、立派な英雄よりも、どこか困ったところのある普通の人が多く登場します。

うっかり者、あわて者、知ったかぶり、食いしん坊、酒好き、見栄っ張りなどです。

失敗することもあれば、言葉を勘違いすることもあります。

けれども、完全な悪人として描かれるとは限りません。

「困った人だけれど、どこか憎めない」

「自分にも似たところがあるかもしれない」

そう思える人物が多いのです。

人の欠点を厳しく責めるのではなく、「人間だから、こんなこともあるよね」と笑えることが、落語の大きな魅力です。

落語は何がおもしろいの?

落語のおもしろさは、人によって違います。

  • 言葉の勘違いや言葉遊びがおもしろい
  • 登場人物のやり取りがおもしろい
  • 一人で何役も演じ分ける技に驚く
  • 江戸時代の暮らしを想像できる
  • 失敗する人物に親しみを感じる
  • 最後のオチで「なるほど」と思える
  • 同じ演目でも、演じる人によって違って聞こえる

最初から全部を理解する必要はありません。

一か所でも笑えたら、それで十分です。

分からない言葉があっても、人物の表情や声から楽しめることがあります。別の落語家で同じ演目を聞くと、急に分かることもあります。

初めて落語を聞くときのコツ

初めてなら、短くて筋が分かりやすい噺から聞いてみましょう。

題名やあらすじを少し確認してから聞いても構いません。「先に知ったら楽しめない」という決まりはありません。

次の三つだけ意識すると、物語を追いやすくなります。

  1. 今、誰が話しているか
  2. その人は何をしたいのか
  3. 何を勘違いしているのか

昔の言葉が出てきても、全部を調べながら聞く必要はありません。

まずは人のやり取りを楽しみ、気になった言葉だけ後で調べてみましょう。

子どもでも落語を楽しめる?

もちろん楽しめます。

子どもが主人公の噺、食べ物の噺、動物が登場する噺、分かりやすい勘違いから始まる噺などもあります。

落語を聞くと、言葉から場面を想像する力が自然に働きます。

同じ言葉に二つの意味があることや、言い方によって受け取り方が変わることにも気づけます。

笑いながら、日本語のおもしろさや人の気持ちを考えられるのです。

ただし、古典落語には昔の大人向けの題材を扱う演目もあります。子どもと一緒に楽しむ場合は、子ども向けとして紹介されている噺から選ぶと安心です。

落語は「昔の芸」なの?

落語には長い歴史がありますが、昔だけの芸ではありません。

今も新しい落語が作られています。古典落語も、演じる人や時代に合わせて、伝わりやすい言葉や工夫を取り入れながら演じられています。

舞台や寄席だけでなく、テレビ、ラジオ、動画、音声配信などでも楽しめます。

時代が変わっても、うっかりする人、見栄を張る人、勘違いする人はいます。

道具や暮らしが変わっても、人間のおかしさはあまり変わりません。

だから落語は、何百年も前から続き、今も新しい噺が生まれているのです。

まとめ:落語とは、想像して楽しむ物語

落語とは、一人の落語家が座布団の上に座り、言葉、表情、声、目線、扇子、手ぬぐいを使って、何人もの人物と広い世界を見せる芸です。

舞台には、大がかりなセットがありません。

その代わり、聞く人の頭の中に、家、店、町、人々の顔が生まれます。

登場人物は、失敗したり、勘違いしたり、見栄を張ったりします。

そんな人間らしい姿を見て、私たちは笑いながら、ときには「自分にも似たところがあるな」と感じます。

落語を楽しむために、難しい知識はいりません。

まずは一つ、気になった噺を聞いてみてください。

頭の中に景色が見えたなら、あなたはもう、落語の世界に入っています。

落語についてのよくある質問

落語と漫才は何が違いますか?

落語は、基本的に一人で何人もの人物を演じながら物語を進めます。漫才は、二人以上の演者が実際に会話しながら笑いを作るのが一般的です。

落語家と噺家は違いますか?

ほぼ同じ意味で使われます。「噺家」は「はなしか」と読みます。

落語には必ずオチがありますか?

最後にオチやサゲが置かれることは多いですが、落語の魅力はオチだけではありません。人物、会話、語り口、人情などを味わう噺もあります。

同じ題名の落語は、内容も同じですか?

大まかな筋が同じでも、言葉、場面、登場人物の見せ方、長さなどは落語家によって変わります。同じ演目を聞き比べるのも、落語の楽しみ方の一つです。

落語はどこで見られますか?

寄席、落語会、文化施設などで見られます。テレビ、ラジオ、動画、音声配信で楽しめる落語もあります。

落語を聞く前に勉強は必要ですか?

必要ありません。まず聞いてみて、分からなかった言葉だけ後から調べれば十分です。

Posted by yo28